大日岳と弥陀ヶ原
     
 〜北アルプス立山でスロ−な山歩き〜  2008年8月8日〜8月10日
右膝の打撲から3週間。痛みは徐々になくなり、これなら山登りを再開できそうです。
行き先は季節限定の花の北アルプス・・・。治ったといっても、フル装備での縦走は無謀なので、
出発する2〜3日前に行けそうな候補地を選びだし、雷鳥沢をキャンプ地に決めたのでした。

出発前日は納涼会があり、夜の10時半までしっかりと飲んでしまったため、翌日自宅を出発したのは5時30分。
スロ−な山歩きにふさわしくスロ−な出発と相成りました。

10時ごろ扇沢に到着。
きっぷ売り場で室堂までの往復切符を買い10時30分発のトロリ−バスに乗りました。
1日目  8月8日   雷鳥沢テント場と≪室堂周辺池めぐり≫
室堂からキャンプ地の雷鳥沢までは歩いて1時間ほどなので、今回は
≪あると便利なものはしっかり持ち込む≫
ことにしました。
テントマット・シュラフカバ−・サンダル・温泉セットなどなど・・・総重量は16Kgでした。

次のケ−ブルカ−乗り場に着くと、バスツァ−の団体客が多く
観光客で溢れ返っていました。

すでに登山者の時間帯ではなく観光時間帯なので当然かもしれませんが、
ロ−プ−ウェイの待ち時間も長く、狭いスペ−スでのザックの上げ下ろしと
移動は大変で、肩身の狭い思いと、人混みで疲れてしまいました (ToT)/~~~
黒部ダムの大放水
室堂からの風景 みくりが池と立山
やっと室堂駅に到着しました。2階の売店で宇奈月地ビ−ルを買い、
観光客であふれかえっている遊歩道を地獄谷方面に進み雷鳥沢テント場に着きました。
お盆前の金曜日なので広いテント場もまだまだ充分に空きがあります。受付で2泊1000円を支払いテントを設営。

近くに雷鳥沢ヒュッテやロッジ立山連峰の温泉に500円で入ることができるし、水は豊富だし、トイレも清潔水洗です。
アルペンル−トはお金がかかるけど、そのおかげで2280mの高所で
お手軽にキャンプできるんだからこれほど恵まれた立地条件の場所はめったにありません。
テントが完成したのが14時。

室堂周辺の池めぐりなどをしながら
スロ−なハイキングを楽しみ、
帰り道に雷鳥沢ヒュッテで温泉に入り、
缶ビ−ルを買ってテント場に
戻ってきました。

テントサイトからは真正面に立山三山が
望めロケ−ションも申し分ありません。

ゆっくりと一人宴会を楽しみました。
テントサイトから眺める立山三山 一人宴会メニュ−
2日目    8月9日 ≪奥大日岳〜大日岳往復≫  雷鳥平テント場泊
5:15 雷鳥沢キャンプ場出発ー 7:25 奥大日岳ー9:50 大日岳 10:45−12:45 奥大日岳ー14:30 雷鳥沢
その夜は少し肌寒く、シュラフカバ−が役立ちました。ぐっすりと眠れ、少し明るくなってから目が覚めました。
。急いで出発の準備を整え、日帰り装備を持ってテント場を後にしました。
キャンプ場から浄土沢の橋を渡ると剱岳方面と大日岳方面への分岐がある    新室堂乗越に向かう木道とチングルマ
浄土沢にかかる橋を渡って剱岳方面への分岐で大日岳方面に少し進むと、広い山の斜面には一本の木道が敷かれ
あたり一面はチングルマのお花畑が広がっています。
岩稜の多い立山周辺の山の中で、
大日岳は緑が多く牧歌的な山容です。

標高は2500m〜2600mと低い
こともありますが、高山植物の豊富さ
では立山イチと言われているので、
楽しみです。

テント場は後ろ側に見下ろすようになり、
地獄谷の荒々しい景観が
大きく見えてきました。

イワカガミやハクサンフウロのピンク色
も登山道に目立つようになりました。
登山道から地獄谷方面を俯瞰する
新室堂乗越を過ぎ、お花畑の点在する
尾根道を左から回りこむようにように
登ってゆくと、正面に奥大日岳が
見えてきました。

そしていよいよ・・・
別山尾根の肩越しに名峰 
剱岳のピ−クが見えてきました。

まだ逆光ですが、これから大日岳まで
の稜線からは終始この勇姿を望むこと
ができるはず!
逆光の中に聳える剱岳
花に囲まれた登山道を歩く   ライチョウの親子にもご対面!       真っ青な空に映えるミヤマキンバイとクルマユリ
空は一点の曇りもなく真っ青で、高山植物も真っ盛り!。登山者も少なく一人どっぷりと山の魅力に浸かれそう・・・
なんて贅沢な時間なんでしょう。
ライチョウの親子にもご対面。南アルプスでは見る機会が少なくなってしまいましたが、
北アルプスでは毎回見ることができます。五羽のヒナ達もすくすく成長しているようでした。
弥陀ヶ原の向こうに山並みが連なる              奥大日岳山頂(標高2606m)から大日岳を望む
地獄谷の先に広がっている草原は天狗平で、くねくねと蛇行した道路にはバスの往来があります。
天狗平から弥陀ヶ原にかけての台地はとても広々とした草原で、車道の近くには木道も確認できました。

標高が高くなるにしたがって、南の方角に賢著な形のピ−クが見えてきました。まずは笠ヶ岳、次に槍ヶ岳。
小さくてもひと目でそれと解るピ−クです。次にもっと近くに現れた山は・・・? 
「そうだ!薬師岳だ。」威風堂々としたボリュ−ムのあるかっこいい山容です。数年前から登りたいと思っていた憧れの山・・・。
「今年も近くで見るだけになってしまったけど、来年こそは登るゾ〜」と心に誓ったのでした。

奥大日岳に着きました。今回の登山で一番標高の高い山です。山頂から見た薬師岳は、やはり雄大でした。
                         オオバキスミレ          ハクサンフウロ        キヌガサソウ
奥大日岳から中大日岳に向かう鞍部までは一旦下ります。色とりどりの高山植物がお目見えし、目を楽しませてくれます。
奥大日岳から中大日鞍部に向かう≪ガレ場と鉄ハシゴ≫       ツリガネニンジン と 弥陀ヶ原 と 薬師岳
全行程中、ガレ場の下りだけが要注意箇所ですが、それ以外は登山道はしっかり整備されていました。
ハクサントリカブトやツリガネニンジンの青紫色の花が目立つようになり、盛夏から晩夏へと、短い夏は一気に駆け抜けています。
ミヤマリンドウもありましたが、

目立たないけれど、タテヤマリンドウはたくさん咲いていました。

再び緩やかに登っていくと岩場がありました。

岩場を乗り越えた先にあるのが【七福園】です
ミヤマリンドウ タテヤマリンドウ
ハイマツと巨石に囲まれた自然庭園 ≪ 七 福 園 ≫
明るく開けた【七福園】はハイマツとナナカマドと巨石が点在し、まさに別天地です。
なぜここだけにこんな日本庭園のような場所があるのか不思議でした。七福園の先に中大日岳があり
、それから一旦下っていくと大日小屋があります。大日小屋から15分ほど登ると大日岳山頂に着きました。
大日岳(2501m) 大日岳山頂から見た ≪ 剱 岳 ≫
大日岳は、まさに剱岳の展望台でした。
『何よりその風采の剛毅にして颯爽たる点である。』『一つの尖端を頂点として胸の透くくらいスッキリした金字塔・・・』
と百名山の著者が絶賛する風格通りの展望に大満足でした。
剱岳は3年前のゴ−ルデンウィ−クに初登頂し、残雪期だったので、【まさに岩と雪の殿堂!】感動もひとしおでした。
それ以降、源次郎尾根を2度登り損ねているので、是非、源次郎尾根か早月尾根で再びあのピ−クに立ちたいものです。

山頂には大日如来様が祭られていました。
静かな山頂は人も少なく、長い時間独占して、周りの景色を楽しみました。
大日小屋と大日岳 大日小屋はランプの宿です 生ビ−ルの看板(やはり北アルプス
だんだん雲が湧いてきたので、下山することにしました。
大日小屋の窓の中にランプが見えました。 ここはランプの宿。 レトロな感じがいいですねぇ〜(*^_^*) 。
でも入口にまわると・・・生ビ−ルの看板もあったりして・・・ さすが・・・やはりここも北アルプスでした。
正面に立山三山を望み雷鳥沢に戻ります     一番多かったのはチングルマでした     一人宴会メニュ−
大日岳から奥大日岳までは再び登り返しの道です。奥大日岳からやっと下るだけの道になりました。

雷鳥沢のテント場に向かう橋には雄山神社の御札をザックに付け、立山三山を登り終えた登山者が大勢歩いていました。
テント場に戻ると次は向かうは温泉です。

今回のスロ−な山歩きのスタンスは ≪ 初めチョロチョロ なかパッパ!・・・後は温泉とビ−ルがあればいい(*^_^*)!≫

雷鳥沢ヒュッテで内湯に入った後、小屋掛けの源泉風呂にも入り、売店で缶ビ−ルを買い足し・・・
途中の雪渓で雪をビニ−ル袋に詰めて・・・   これでアフタ−登山もパ−フェクトです。 
再び立山を相手に一人宴会に興じ、薄暗くなる頃には爆酔!? いや爆睡してしまったようです。
   夕べ早く寝てしまったせいか、3時前には目が覚めてしまいました。テントの外を見ると、
         天空には今にも降ってきそうなくらいの満天の星と流れ星がひとすじ・・・☆彡。

         
今日は最終日、暗いうちから起き出したので、出発の準備も早めに整いました。

雄山神社には暗いうちから明かりが灯り、山頂からご来光を見ようと多くの
登山者が登っていたことでしょう。今朝の天気も快晴です。

   
「こんな時間にあの稜線を歩けたらきっと超気持ちいいんだろうな〜」
   
「はて?? 私は3日間もこの山を見ていたのに、ナンで登らないんだい ???」
           と、素朴な疑問と矛盾がわいてきました。

   
「う〜ん・・・まっ いっか!」 と
    前向きに考え直し、くるりと立山に背を向け、室堂を目指したのでした。
3日目    8月10日   室堂から≪弥陀ヶ原往復≫
5:10 雷鳥平ー5:55 室堂ー6:10 大谷・天狗平コ−ス入口ー6:50 天狗平山荘ー
8:05 弥陀ヶ原バス停ー9:10 松尾峠ー10:25 一の沢ー12:00天狗平山荘ー12:45 室堂
室堂から大谷・天狗平方面へ向かう標識      朝露に輝くツガザクラ             朝露に輝くチングルマの実
最終日は、昨日大日岳に登った時、南側見えた、広大な高層湿原台地・弥陀ヶ原のハイキングです。

室堂には朝一番のバス出る一時間以上前に着いてしまったので、室堂から弥陀ヶ原までの下りを歩き、
復路はバスにて室堂に戻ろうと、コインロッカ−に不要なザックを預け天狗平へ続く道を降りていきました。
昨日登った大日岳方面                    天狗平のお花畑
この一帯は高山植物の復元作業をしている場所でもあって、ずっとお花畑が続いています。
朝露をいっぱい付けたツガザクラやチングルマは朝日に輝いていました。
なるほど道はずっと下りです。
復路はバスを使うから楽勝・楽勝!
 と、まったくお気楽なハイキングです。

天狗平山荘に出たところに弥陀ヶ原
方面に進む標識(美松坂コ−ス)が
あったので、疑うことなくその標識通り、
小屋の手前を左側にまわりこみました。

道はすぐに広々とした木道で出る
はずと、信じて疑う事もなかったけれど
、あまり歩かれていない登山道でした。
苔蒸した湿った岩を拾いながら
ぐんぐん下っていきました。
地図で確認を怠り美松坂コ−スに進む       モミジカラマツ
すぐ近くにバスの走る音がします。少し開けた場所からは弥陀ヶ原の広大な草原が広がっていて、
「確かあの草原の木道を歩くはずだったのにどうして・・・?」 おまけに、丈の長い草やクマザサが登山道を覆い、
朝露でズボンも袖もびしょ濡れです。納得いかないまま1時間ほど下ったら弥陀ヶ原のバス停手前の車道に降り立ちました。

ここでやっと地図を出して確認すると・・・
「あれまぁ・・!? 歩くつもりではなかった整備不良の旧道で降りちゃった。」  

今日のハイライトは北アルプスの秘境・雲の平のような広大な高層草原台地をハイキングすることだったのに(-_-;)・・・。
湿原の木道を歩かなくては弥陀ヶ原に来た意味がないので、≪帰りはバスで≫の 安直な計画は露と消えてしまったのでした。
弥陀ヶ原を巡る木道                    湿原とワタスゲ
やっと木道歩きです。広々として開放感あふれる弥陀ヶ原は緑も目に優しく、時おり吹き抜ける涼風にワタスゲが
気持ちよさそうにゆらゆらと身を任せています。その中に点在するワレモコウは初秋を感じされてくれます。
人も少なく、実に平和で穏やかな時間が流れました。
松尾峠に向かう木道から見た薬師岳         松尾峠展望台から見た 鷲岳方面  と 案内版
昨日たっぷり歩いたけど、右膝の具合はすこぶる快調です。「これなら大丈夫歩けるゾ!」と、
展望台のある松尾峠まで木道の階段を登っていきました。登りの途中から薬師岳が大きく見えます。


松尾峠からは何が見えるのだろうと期待していたら
 「まあ!なんてことでしょう (^。^) 」
以前、室堂から五色ヶ原まで歩いたことがあり、薬師岳には、五色ヶ原から続く長い稜線を歩いて登頂したいと思っていました。
そして目の前にはその稜線上の山々が見え、薬師岳へとつながっていたのでした。
「やっぱり来年は登るしかないでしょ!」 と、誓いも新たに松尾峠を後にしたのでした。
地塘(ガキの田) ニッコウキスゲ 水芭蕉
このあたりの地塘は≪餓鬼の田≫と呼ばれています。弥陀ヶ原から天狗平までは整備された木道を
ゆるやかに登っていきます。でも前方に一箇所、窪地があり、一ノ谷を渡らなければなりません。
沢に降りる地点で木道から足場の悪い登山道になります。
一ノ谷に降りる 一ノ谷からの登りの鎖場 鎖を張った石の階段を登る
一ノ谷に架かる橋を渡ると、小さな沢の左岸を高巻くような道になります。
濡れた岩の急な階段状のトラバ−ス道には鎖が渡されている悪場です。
対岸には飛び石で渡り、濡れた岩の急な階段の鎖場を登りきり、やっと木道に出ました。
天狗ノ鼻周辺の地塘とワタスゲ ナナカマドは一足お先に秋化粧
木道に出ると、また平和な
高層湿原歩きになりました。

赤く色付いたナナカマドを発見!
一足早い秋を見つけました。

ここからは朝歩いた道と合流し、
人ごみの室堂へと戻ったのでした。

今日の行動時間は7時間強。

結局スロ−な山歩きは
初日だけだった気がします(^_^.)
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