吉野の桜 と 吉野山の世界遺産
2010年4月9日
古来より日本一の桜の名所として知られる吉野山。
吉野山とは、大峯連山の北の端から、南に約8kmつづく尾根一帯を指します。
また大峯信仰登山の根拠地でもあり、修験道の霊場とされてきました。
霊場「吉野・大峯」と「熊野三山」を結ぶ修行の道は「大峯奥駈道」と呼ばれ、今日でも修行が行われています。

2004年7月、吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が、ユネスコの世界遺産に認定されました。
これは、遺跡や文化的な価値の高い建造物、貴重な自然環境を保護・保全し、
人類にとってかけがえのない共通の財産として 後世に継承していく事を目的に、
世界遺産条約に基づき世界遺産リストに登録されている物件のことです。

吉野山は山全体が世界遺産として登録されており、
吉野水分神社・金峯神社・金峯山寺・吉水神社などの世界遺産の建造物を徒歩で回れることも魅力です。
前日夕刻、彦根の駅で旭マダム達と別れ、
一人 JRで奈良に向かっている途中、
吉野大好きchieから電話が!(*^。^*)。

吉野の楽しみ方を
アドバイスしてもらいました。
『吉野には8時半までには着くべし!』

そんなわけで、奈良駅近くのビジネスホテ
ルで一泊した私は、またまた早起き。
奈良駅から朝6時半の電車で吉野に
向かいました。

JRを乗り継ぎ、吉野口からは近鉄吉野線
に乗って 吉野口に8時半ごろ到着


吉野山観光協会 HP
近鉄吉野駅周辺       吉野大峯ケ−ブル 吉野山駅
近鉄吉野駅から数分歩くと左方向にはバス乗り場、右方向には吉野大峯ケ−ブルの千本口駅があります。
ここから歩いて登ることもできますが、吉野大好きchieの言うとおり、この時間 吉野大峯ケ−ブル(350円)にはすぐに乗れたので、
最初はケ−ブルで吉野山駅まで上がりました。周りの桜は満開です。
参道沿いのみやげ物店
吉野山駅からは参道を上がっていきます。
参道の両側には吉野葛や柿の葉寿司、万能薬のお店など風情のあるみやげ物店が軒を連ねていました。
まだ9時前だったので、観光客は少なく、時折通り抜ける車を煩わしく避けながら、のんびりと散策しました。
    仁王門      ≪ 金峯山寺(きんぷせんじ) 世界遺産 @ ≫       蔵王堂  
10分ほど歩くと正面に金峯山寺の石段と仁王門が見えてきました。
7世紀末、役行者がこの金峯山を道場として修行され、蔵王権現を感得し、
そのお姿を桜の木で刻みお堂(蔵王堂)を立ててお祀りしました。
このことから桜が保護・献木されて吉野山が桜の名所となったとのこと。

金峯山寺は金峯山修験本宋の総本山。
蔵王堂は正面5間、側面6間、高さ約34m、檜皮葺き(ひわだぶき)の、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築。
蔵王権現像(重文)3体がまつられ、本尊は高さ7mにもおよびます。

蔵王堂で拝観を終えてからは、だんだん観光客が増え、にぎやかになってきた参道を歩いていきました。
吉水神社(よしみず)   世界遺産 A 山門の手前には名所あり!
五分ほど歩くと左手に吉水神社の表示があるので、坂を下っていきました。
門をくぐると、ここが一目千本!。テレビに登場する名所です。
ここで初めて吉野山の桜の全容を見る事ができました。
≪名勝 吉水神社  一目千本 ≫  から見た吉野の桜
吉野山の桜の全容・・・といっても、ここから見渡せるのはごく一部です。
『麓から順に山を染め上げる・・・』という形容の、自分が抱いていたイメ−ジとは少し違っていました。
昨日は青空のもと、まさに満開のヨメイヨシノの華やかなピンク色の桜の競演に一日中浸っていたからでしょうか・・・。
吉水神社(よしみず)          書院の内部
もう一つ門をくぐり吉水神社に入りました。
もとは金峯山寺の格式高い僧坊でしたが、明治の神仏分離によって神社となりました。
後醍醐天皇の行宮であったこと、豊臣秀吉が花見の本陣とした等の歴史的逸話で知られています。
源義経が弁慶らと身を隠したこと、静御前と最後に会ったのもここだそうです。

入母屋造りで桧皮葺きの屋根が見事です。書院にも入ってみました。
後醍醐天皇、義経、弁慶、静御前、秀吉ゆかりの秘宝を見ることができました。
中型バスで奥千本口へ 10:50 11:00 金峯神社 世界遺産 B
吉水神社を出て、再び参道を歩きました。みやげ物屋さんや旅館が立ち並び、食事処も多いです。
食事処は谷側に大きく窓が開かれ、桜見物には絶好の大展望台となっていました。

さて、如意綸寺への道を左左に分け、車道を少し上っていくと竹林院前のバス停に出ます。
ここで20分ほど待って、奥千本行きのバス(400円)に乗りました。

15〜20分ほどで奥千本口に着きました。修行門から急な石段状の道を10分ほど登ったところに金峯神社がありました。
山の奥深く、時間が止まったみたいにひっそりと佇んでいました。ちょうと桜も満開です。
金峯神社は吉野山の地主神、金山毘古命(かなやまひこのみこと)が祭神。
義経隠れ塔 大峯奥駈道 道標 奥千本は杉林の中に・・・
境内から坂道を3分ほど下ると、義経が弁慶らと追っ手から逃れるために隠れた義経隠れ塔がありました。

奥千本からは大峯奥駈道という修験道もあります。山中には大峯奥駈の道標も見られました。
奥千本といっても、杉林の中の静かな静かな山の中。杉は枝打ちさて、手が入れられているのがわかります。
この季節厄介者あつかいですが、凛としていて霊気を感じます。
奥千本の桜は1〜2分咲き 11:20 西行庵
この杉林の中に奥千本の桜が植えられたのですね。奥千本の桜はまだ蕾でしたが、観光客も少なく静かなところでした。
奥千本の桜と杉林に囲まれた吉野山の奥深く・・・西行が俗世から離れ、3年間を過ごした庵がありました。
ここから周遊コ−スでバス停まで戻ります。途中には西行・芭蕉が詠んだ、今でも湧水がでている苔清水がありました。

奥千本は昔のままの自然が残されている場所でした。ひんやりとした杉林・・・その中に山桜が控えめにそっと花を咲かせている。
杉林の登山道は熊野古道を歩いているような感覚でした。
12:30 吉野水分神社 水分神社のしだれ桜
約1時間20分かけて、歩いて奥千本と名所・旧跡を辿った後は、バスの走る道と反対側の車道を歩いて麓まで戻ります。
バス停から10分ほど歩くと高城山展望台があり、ここからは奥千本が見えました。
またまた少し歩くと吉野水分神社がありました。中に入ると中庭に満開のしだれ桜が迎えてくれました。
吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)  世界遺産 C
右手には3つの屋根が1棟に連なる古きゆかしい本殿がありました。この本殿が時代を感じるすばらしいものでした。
今回の吉野山でこの水分神社の本殿が一番印象に残っています。
桃山時代の建築のようですが、水を司る神様だけに火事に遭わなかったってことでしょうか?
吉野水分神社

水を司る天之水分(あめのみくまり)大神を主神とし、"みくまりが"御子守"(みこもり)となまって、
俗に子守さんと呼ばれ子宝の神として信仰されています。
社殿は豊富(臣)秀頼が再建したもので、本殿、拝殿、弊殿、楼門、回廊からなる桃山時代の大変美しい建築です。
吉野山 上千本
水分神社からだんだん観光客が増え始めましたが、ここからは人・人・人・・・。
展望台から見た景色はこんな感じ!。吉野山の山や谷には もこもことした桜が、見事にたくさん咲いています。
遠くのほうには(左奥)朝立ち寄った蔵王堂 が見え、その手間には、一番にぎやかな参堂沿いのたくさんの屋根も見えます。
「吉野山の桜のお花見って、こういう景色のことをいうんだなぁ〜!」って実感(*^。^*) いつまでも見ていたい景色でした。
13:00 上千本 吉野山 上千本
道はつづら折りで下っていきます。この上千本のあたりから中千本〜と道沿いからながめる桜は圧巻でした。
歩いても歩いても 桜・サクラ・さくら・・・ このあたりはシ−トを広げてお花見をしている観光客も多かったです。
上千本
野山には古来桜が多く、シロヤマザクラを中心に約200種3万本の桜が密集しています。
はかなげで可憐な感じの山桜が、尾根から尾根へ、谷から谷へと山全体を埋め尽くしてゆきます。
シロヤマザクラは下・中・上・奥の4箇所に密集しており、”一目に千本見える豪華さ”という意味で
「一目千本」とも言われます。

おのおの下千本(しもせんぼん)、中千本(なかせんぼん)、上千本(かみせんぼん)、
奥千本(おくせんぼん)と呼ばれており、例年4月初旬から末にかけて、
下→中→上→奥千本と、山下から山上へ順に開花してゆくため、長く見頃が楽しめます。
13:30 中千本
中千本に入っても、桜の競演が続きます。 山桜は花と一緒に葉っぱも出るので、
その若葉の色が微妙に違い、木によって色のニュアンスが違ってきます。

ソメイヨシノのような華やかさはありませんが、『ほんわか・ほんわか』した情景は薄ピンク色の春霞の中にいる感じ・・・。

のどかなのは桜だけ・・・!? 朝 ゆったりと歩いていた参道まで戻ってくると大変なことになっていました。
参道いっぱいに人・人・人・・・

時間は1時半過ぎです。
この時間は下る人よりも上がってくる人の
方が多く、みやげ物屋をのんびり見て
歩くので、思い通りに歩けない・・・。

お店も混んでいて、買う気にもならないし
・・・。人の間をすり抜けて急げ急げ!
乗りたい電車の時間が気になって
いるのに・・・「はぁぁぁ〜^_^; 」

やっとケ−ブルの駅まで戻ってきました。

電車の発車時刻までは15分ほどあった
ので、ケ−ブルには乗らずに下千本
を歩くことができました。

ここからの桜も満開ですばらしかった。

時間が気になって走って下りましたが、
ホントはのんびり歩きたかったです。
13:55 下千本
14:08の近鉄吉野線にのって、まずはJR吉野口へ。ここからは再び青春18きっぷで帰ります。
ル−トは@大阪経由 A奈良→京都経由 B亀山→名古屋経由の3パタ−ン どのコ−スでも帰着は22:04でした。
乗り換えはなんと!7回ほど・・・。   走行距離は長いけど、快速電車利用で車両がいい @大阪経由で帰りました。
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