中央アルプス  越百山〜南駒ケ岳
2009年11月22日〜23日
勤労感謝の日の連休で、中央アルプスに行くことになりました。メンバ−は私が所属する山の会の会員の総勢5名。
近頃は気ままな≪おひとりさま登山≫ばっかりしていたので、屈強な会員達の足手まといにならないかと、
不安もちょっぴりあったけど、「ヨッシャ〜(゜o゜)!」

リ−ダ−が提案したのが中央アルプスの越百山と南駒ケ岳。11月下旬の中央アルプスは未知の世界・・・。
ネットで調べてもこの時期の情報はあまりなく、冬山装備の支度をしていざ出発で〜す。
      11月22日

 中央道・中津川ICを経て、大桑村から 
伊奈川ダム先のケサ沢まで、
車を乗り入れました。
駐車場には一台が止まっているだけ
でした。(3連休なのにさすがこの時期に
登る人は少ないようで・・・)

林道を40分ほど歩くと、福栃平に着き、
南駒ケ岳方面と越百山への分岐が
ありました。

この分岐から本格的な登山道になりま
した。出だしから急な登りです。
福栃平(標高1322m) クマザサ帯のジグザグの登山道
福栃平から50分ほど登ると四合目の標識があり、その後は顕著な尾根歩きとなり、
≪やせ馬の背≫という標識のあるやせた尾根も歩きました。

ヒノキやクマザサの道を登っていくと、登山道に雪が付き始めました(標高1800m地点)。
しゃくなげの木も多くなって、展望台の標識からは木立の間から御岳が見えるようになりました。
越百小屋                越百小屋から見上げる越百山
コメツガやオオシラビソの樹林帯を登り、だんだん雪が多くなっていく登山道をゆるやかに下ると赤い屋根の越百小屋に着きました。
出発してから5時間ちょっとです。
いままでの行程は、しっかり整備された登山道で、標識も適度にあり、安全に歩ける一般登山道でした。
越百小屋はこの時期 無人で、避難小屋に一箇所開放されていました。風もまったくなく、静かで平和なこの場所でゆっくり休憩を
とりました。 さて、今日の行程は越百山まで・・・正面に見上げるあの頂まで あと一時間ちょっとです。 頑張って登りましょう (*^_^*) 

越百小屋からは再び急な登りとなり、積雪もだんだん多くなりました。ハイマツ帯を抜け出ると強い風が吹き抜けます。
強風は越百山山頂でMAXでした。
風下側には平らがなく、唯一平らな場所である越百山の山頂にテントを張る事になりました\(◎o◎)/!。
強風で、顔や手があっという間に凍えそう
になったけど、全員で力を合わせ、
吹き飛ばされそうなテントをしっかり持って、
スリング・ロ−プまで駆使して、
やっとの思いで設営が完了しました。
最後に炊事用の雪を集めてから、
テントの中に落ち着きました。

14時に山頂に着いてから、テントを設営
してやっと中で落ち着けるまで約2時間。
テントに落ち着いてもまだ
ブルブル震えが止まりません。

雪で水を作りながら、それぞれ持ち上げた
乾き物や各種アルコ−ルで、やっと
体の中から温まりました。
この山のてっぺんにテントを設営 夕食はきりたんぽ鍋
夕食はきりたんぽ鍋です。雪の季節の鍋料理は体も心もぽかぽかです。
相変わらず、強い風は一晩中吹き荒れ、テントは一晩中バタバタと音を立てていました。
夜は雪も降り続き、風上の雪がテントの裾にたまり、居住スペ−スが少なくなってしまったくらいです。

     11月23日
  ↓ 南駒ケ岳           ↓ 仙崖嶺
明け方近くにテントの外を見ると雲は
すっかり無くなり、星空になっていました。

遠くの山々や、眼下には伊那の町が
見えました。

『この好天気なら計画通り縦走しよう』と、
いうことで、相変わらず冷たい風が吹く中で
テントを畳み、6時20分に歩き始めました。


夜降った雪で稜線上は積雪が20cm
ほど。微かにトレ−スが残っていたけれど、
ずっとラッセルしながら進まなければ
ならず、初冬の山は一晩で完全な
冬山となってしまったのでした。

まずは仙崖嶺に向けて、ゆるやかな
アップダウンの道を進みました。
一日はまだ始まったばかり・・・・・まずは仙崖嶺を目指します
 御岳山     と     乗鞍岳
右手には南アルプスの山並みが屏風のように広がっていました。
左側に見える御岳山や乗鞍岳にも朝日が射し始めました。
絶景で〜す!(^−^) 
仙崖嶺に向けて登る バックは越百山(標高2613m)
傾斜が出てくるとトップはラッセルで大変な労力です。
仙崖嶺が近づいて岩場が出てきたので、2名と3名でロ−プを使い、大阪コンテで登っていきました。
仙崖嶺は険しい岩峰でした。無雪期でも通過に緊張する場所でしょうが、昨夜の雪で、吹き溜まっている箇所や、
岩がむき出しになっている場所をアイゼンの歯をガリガリ立てながら通過していくので、もう たぁ〜いへん です。
仙崖嶺のピ−クの標識 仙崖嶺(標高2734m)から見た南駒ケ岳(2841m)
やっとこさっとこ 棒っきれの立った少しの平らに着きました。ここが仙崖嶺のようです。
ここまでで3時間。 でも・・・まだまだこれから緊張の連続と、さらなるピ−ク(南駒ケ岳)が目の前に現れました。
仙崖嶺から一旦下ります
仙崖嶺からは岩稜と積雪のミックスの悪場を慎重に どんどん・・どんどん・・・どんどん・・・下りました。
岩場に降り立ち、次の登りが始まるそんな場所・・・積雪の為、夏道ル−トが判り辛く、ル−トファインディングの重要性を痛感。
そんな場所もリ−ダ−は雪に埋もれた鎖場を見つけて、まだ下っていってしまいました。

やっと登り返しが始まるゾ! そんな陽だまりを見つけて温かい飲み物でホッと一息ついてから、これから始まる登りに備えました。
吹き溜まりは積雪50cm・・・ラッセルを強いられた厳しい登りが続く  12時 南駒ケ岳山頂 
空木岳〜三ノ沢岳〜宝剣岳が見える
まずは正面に見える高みまで、ひと頑張り!。でもその先はまだまだ遠そうな道のりでした。
今度は右側に回りこんで空木岳を右手に見ながら、トラバ−ス気味に登っていきました。こちら側は雪が吹き
溜まっていて、遅遅として時間ばかりかかってしまいました。
やっと高みに出ても、南駒ケ岳の山頂はまだまだ先・・・。「はぁぁぁ〜こんなに遠かったっけ〜???」 

12時30分ついに南駒ケ岳の山頂に立ちました。越百山から約6時間。夏道タイムだと3時間なので、2倍の時間がかかりました。
南駒ケ岳山頂から   富士山と南アルプスの峰々と深南部まで〜
南駒ケ岳山頂は風も少なく、真っ青に澄みわたった空に、360度の絶景が広がっていました。
どんなに辛い登りでも、こんな景色が見られたら、今までの苦労も吹き飛んでしまいますね(*^。^*)。


35分ほど寛いでから、下山を開始しました。
わずかな踏み跡は空木岳方面に向かっていて、下山路の今朝沢方面へはまったくトレ−スはありませんでした。
西尾根は、この先も 累々とした
巨石が続く難路でした。
積雪で赤ペンキも隠れてしまい、ル−ト
ファインディングが重要なポイントでした。

雪が無ければ苦労もしないのに・・・
岩場ではアイゼンの歯がガリガリ・・・
雪は重くなってアイゼンの歯に
くっついてゲタ状態に。
無雪期の倍以上の時間と緊張感を
強いられました。

下山を始めて1時間半。
随分下った感じなのに、振り返ると・・・
   
「あれまぁぁぁっ!」
山頂はまだ近くにありました(-_-;)
下山開始から2時間経ちました。

でもこんな標識がありました・・・

標高は2700m。

『無雪期なら、ここから45分で
南駒ケ岳の山頂に立てるんだ・・・』 
      と・ほ・ほ・・・。

この先の下りもまだ岩場が続いていました。
落胆の色が濃くなった瞬間でした。
15:10標高2700m (今朝沢登山口4合目へ3時間とある)
その後もしばらくは岩場があり、やっと傾斜が緩んできたので、アイゼンを外しました。
これでやっと、アイゼンの団子状態から開放され、足元が軽くなりました。

夕方4時前、ついに樹林帯へと入っていきました。やっと安全地帯に入りましたヨ!
太陽はずいぶん西に傾いてしまいましたが、私たちは朝日の当たる時間から今まで・・・
ずっと大展望の広がる雪山(冬山)の稜線を歩いていたっていうことになります。
       
ある意味 贅沢な一日だったということですかね (^_-)-☆

トレ−スは無いので、雪の切り開きと、わずかばかりの赤テ−プを探しながら、
順調に高度を下げていきました。

自分たちはハイペ−スで下ったはずなのに、たま〜にある標識の
コ−スタイムといくらも違いがありません。
ここに来る登山者はつわものばかりということ???
16時45分、たっぷりの積雪は多少滑る
ものの、足に優しく、ぐんぐん高度を
下げていきます。
夕陽の木漏れ日が樹林帯に差込み、
空も雪景色もオレンジ色に
染まっていきました。
  なんとも美しい光景でした。
でも感動している場合じゃないでしょ!

今の日没時間は17時頃、暗くなる
時間が刻々と迫っています。
夕方5時《4合目に2時間10分》と書いて
ある標識の平らで大休止。
ゆっくりコ−ヒ−を沸かし、おやつを
食べて、ヘッドランプを出して、こ
れからの下山に備えました。


17:00
(4合目に2時間10分の標識)
(南駒ケ岳に2時間)
やがてとっぷりと闇に包まれ、上弦の月が夜空を飾っていました。踏み跡は無いのでヘッドランプを頼りに雪道の切り開きを探し・・・
薄暗い木立に付けられたわずかなテ−プを見つけながら、少しづつゆっくりと高度を落としていきました。
  
「もし・・・こんな状態の時、一人で歩いていたら・・・途方にくれてしまうし、怖くてきっと泣いちゃうだろうな(>_<)」
頼りになる山男たちと一緒で、何とも心強かったことか!。

【4合目に30分】の標識の後、登山道から作業道に入り込んでしまったためか時間をロスして20時過ぎに4合目に到着。 
でも4合目という地点はゴ−ルではなく、昨日取り付いた越百山の分岐まで林道を30分歩かなければいけません。
そして その分岐から駐車場まではさらに40分歩きます・・・。 
今日の行動時間は15時間半!。最長行動時間を更新してしました (ToT)/~~~
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