海の日の三連休です。
この連休では東北の山に登りたかったのですが、東北地方の予報は曇りや雨・・・
でも北アルプスは晴天予報でした。 この時期ならコマクサ・・・です。
できれば蓮華岳のコマクサから見て
みたいと思ったけど、船窪小屋まで
一日では超ハ−ド!。
2日かけると後の行程を歩けないので、
蓮華岳は諦め七倉から船窪小屋
を登るコ−スを入山ル−トにしました。

黒部アルペンル−ト扇沢への道の一本
手前の道に入り、葛温泉を通過し、
七倉山荘のある駐車場に着きました。

黄色のポストに登山届を投函し、ゲ−ト
の先の橋を渡り、右折して七倉沢沿いを
歩くと登山口がありました。
9:00 七倉山荘 登山届けポスト 9:10 七倉岳・船窪小屋 登山口
10:30  樹林の中の急登 11:15 唐沢のぞき
七倉山荘から船窪小屋までは標高差1400mほど。 コ−スタイムは6時間になっているけど、かなりな急登のようです。
さきほどのゲ−トで会ったタクシ−の運転手も『あの道は急だよ』と言った通り、いきなりの急登で始まりました(ToT)/~~~
最初のワンピッチはジグザグの道で、一歩一歩足と体を持ち上げながら登っていきます。
広い場所に出ると一旦傾斜が緩み、尾根状の道を登るようになりました。 
登山口から2時間ほどで、大岩のある≪唐沢のぞき≫に出ました。
唐沢のぞき??木立が開けているのは七倉沢側であとは樹林の中。七倉ダム湖の対岸の唐沢岳は(のぞけば)見えたのかしら?
11:40  ひたすら登る  12:17  岩小舎 前 12:22 まだまだ登る
針葉樹林の中をただ黙々と登るのみ。日陰なのはありがたいけど、ギャップの激しい登りが続き、顔や体じゅう汗びっしょりです。 
足元の花はゴゼンタチバナやツマトリソウなどの日陰の花ばかりです。シャクナゲの木も多いけど花はすっかり終わっています。
雨宿りできそうな大岩があって、ここには岩小舎と書いてありました。登山口から3時間かかっています。
船窪小屋まであと3時間となっているから、ここまでだけは、ほぼコ−スタイム通りに歩いているようです。
12:26  シャクナゲ   ギンリョウソウ          13:17 イチヨウランが多い 13:36  鼻突八丁(8合目)
標高が上がってくると、まだ咲き残っているハクサンシャクナゲを見てほっと一息。
このあたりにはイチヨウランがあちらこちらで咲いていました。
下ってくる登山者とは4〜5組すれ違っただけで、単独の方が多かったです。 出会う人が少ないから、それぞれ言葉を交わします。
お花の状況やら登山道の様子などですが、一番お目当てのコマクサは南沢乗越に多かったとのこと。
ちょうど見ごろと聞いて「わぁ〜よかったぁ〜♪♪♪
歩き初めて4時間半、鼻突八丁の標識がありました。ここからますます傾斜が増すのでしょう ($・・)/~~~
13:51  ますます傾斜が増す・・・ 幽玄深山の世界・・・
今シ−ズン初めてのフル装備で、ザックの重さは16kgほどです。このころになるとずいぶん足の疲れを感じるようになりました。
一歩の段差が大きいので、まるでお相撲さんが四股を踏むようなスロ−な足どりで、
一歩一歩体を持ち上げていかなければなりません。
オオシラビソなどの巨木に囲まれ、自分はまるで小人のよう!。 
木の梯子も何度かありましたが、傾斜が強いから梯子があるんですよね。登りも辛いけど、このような道を下るのも大変そうです。

このあたりでカップルに行き会いました。 あと一時間ほどの所にある天狗の庭はいい所だよって!。
天狗の庭を目標に 「どっこいしょ〜( ^^) _旦~~」
14:42  やっと潅木帯となる 15:10  天狗の庭
やっと樹林帯を抜けました。景色が変わっていい気分転換!  でも霧で展望が利きません。
もう午後3時だから仕方ないね〜。 
15:50 シャクナゲの花も多い 16:12  チングルマ 16:17 ハクサンチドリ
やった〜! 高山植物にもやっとご対面です。 もう7時間も登っているので、とことん疲れているのですが、
花を見ていると 険しい顔がほっと明るくなるから 不思議です。
16:26 視界が開け、小屋も近い!   16:30-16:45  船窪小屋(標高2448m)       船窪小屋前のコマクサ
ハイマツとダケカンバの明るい景色の中を登っていくと、石に赤ペンキで書いた『ようこそ船窪小屋へ』の文字を見つけて、
ほっと安堵。  やれやれ やっと着きました。 小屋周辺にはコマクサやタカネスミレが咲いていました。
今日の宿泊者は4〜5名程度のようですが、明日は40人と、満員御礼のようです。

受付のために小屋に入ると、初老(失礼!)のご夫婦が迎えてくれました。
とっても穏やかな方で、よくいらっしゃいましたと にっこり・・・。 
この小屋に来るには どのコ−スからでも悪路や難路続きなのに、ここは時間が止まっているような、
まったく平和な空間で、桃源郷ってこんな所のことなんじゃないのかしら?って、
今までの疲れも忘れて、しばしこの雰囲気に浸りました。

明日の行程の登山道の様子を聞くと、にっこりして『大丈夫ですよ』 とご主人。
『荷物が重いから時間は2割増しで考えて』 と奥様。  明日は少し安心して歩けそうな気がしてきました。

テント場は小屋から15分ほど下った所にあります。水場はあるけど足場が悪いようで、小心者の私は小屋で水も買ってしまいました。
ビ−ルも買って、合わせて4kgがザックの重さに加わり、もうふらふら・・・
バランスが悪くって、テント場手前の長い木の梯子を下るのが大変でした(@_@;)。
テント場にテントは3張り、それぞれ単独登山者でした。
テントサイトも虫が多かったけど、テントの中は暑いので外で夕食を摂って、暗くなる頃には熟睡でした。
04:40  朝焼けと残月に浮かぶ山々(手前左側が不動岳・ 奥が五色ヶ原方面)
夜はとっても静かで、朝4時までぐっすり寝てしまったようです。
昨日の足の疲れがたっぷり残っていて、足全体の筋肉が張っている感じです。
テント場からは、昨日見れなかった景色が広がっていました。 すっごくいい天気です。テンション上げ上げで頑張りましょう!
4:55 朝日が当たった槍ヶ岳 5:30 長い一日のはじまり・・・
槍ヶ岳も見えます。朝日が当たり始めました。長い一日が始まりました。
まずは・・・船窪乗越まで30分ちょと下っていきます。 朝イチの急降下ですが、足が歩くことを拒否しているようです。 
何なの? この重〜い足取り・・・。 昨日の重荷での激しい登りで、疲れがいっぱい残っている感じです。
5:35  ガレの横を通過していく 6:05 船窪乗越(2198m)
花崗岩のもろい地質だからか、左側の崩落はかなりひどく、登山道はこのガレの淵に付けられています。
右側は背丈ほどの樹林があるから それほど恐怖感はないものの、やせ尾根の先端に付けられた道のようです。
右側には黒いシルエットの針ノ木岳や蓮華岳方面が見え隠れしています。
30分ちょっとで船窪乗越まで降りてきました。ここから船窪岳までは一転して登りとなります。
標識には不動岳まで3時間(私の地図では4時間)、烏帽子岳まで7時間と書いてありました。 
この時間で歩けるとしたら、不動岳には9時過ぎには着くの???。
6:37 船窪岳 (標高2459m) 6:40  高瀬湖を望む 一番手前右端が不動岳
登りとなると、またまた・お相撲さんの四股踏みよろしく 超スロ−ペ−スになってしまいました。
足さんには今日一日頑張って歩いてもらわないといけないので、早々と私のお助けサプリ≪アミノバイタルプロ≫
をお口に注入しました。でもこの登りは30分ほどで船窪岳に到着しました。 

樹林の中ですが、高瀬湖方面の展望は開けていました。表銀座の先には槍ヶ岳が見えます。
その手前に見えるのは明日歩く予定の野口五郎岳あたりかしら?。
右側・・・一番手前の山が不動岳のようです。ここから見ると不動岳はそれほど遠くなく、大変そうにも思えないのですが・・・。
6:45 アップダウンが多い     6:46 崩れやすいヤセ尾根の通過           6:56 ガラガラしたガレ場のトラバ−ス
小休止の後、船窪岳を後にしました。山頂からは・・・当然下りとなります。
思い起こせば・・・この先の通過あたりからが核心部だったようです。 
木の梯子を下っていくと、その先には超ヤセ尾根の悪場がありました。
ロ−プや木橋が付けられているけど砂の地質なので足元が崩れやすく、両側がスッパリ落ちているので 
いやぁ〜!緊張・緊張・・・。  ここが二番目にイヤだった場所です。

一難去ってまた一難・・・次の難関はガレ場のトラバ−スです。(ここが一番イヤだった)
右側は急峻な沢地形、足場も悪くガラガラしていて落石もしばしば・・・。
背中の荷物の重さはこのような悪場の通過にリクスを伴うと、ヒシヒシと感じました。
ここで私の前方にザックにうちわを入れた登山者が歩いているのが見えました。
  この悪場もビビりながら何とかクリア−(*^。^*)  。  
危険箇所は注意して行動するから
事故が少ないものです。

船窪小屋の主人が言った『大丈夫だよ』
とは、危険箇所にはロ−プや鎖、
木道などで人の手を加えてあると
いうということですかね。

確かに大丈夫なようになっていまし
たよ・・・ でも、怖いし緊張するし・・・
(ToT)/~~~ (T_T)/~~~ 

その後も激しいアップダウンの
連続でした。

時折展望が開け、そこから見えるのは
不動岳! 近そうなんだけどな〜〜〜。
7:15  不動岳は近くに見えるんだけど・・・
7:23   ニッコウキスゲ咲く砂礫の登り   7:23  高瀬ダムを望む
船窪岳から不動岳までは 複雑な地形の中に道が付けられていて、この道を開いた人もすごいなぁ〜と思う・・・。
また登りだぁ〜  でもここは砂礫の急な登山道の両脇には見事なニッコウキスゲの群落がありました。
先ほどのザックにうちわの男性が前を歩いていました。私と同じようなペ−スで歩いている人がいて ちょっと心強く感じます。
8:30  第2ピ−ク 8:54 木立の間から五色ヶ原〜薬師岳方面が望める
朝、テント場から歩き初めて3時間、第2ピ−クという標識のある所に出ました。  「あぁ〜疲れた\(◎o◎)/!」
ここで大休止。 オ−バ−ワ−ク気味だと食欲も減退します。朝食は食べないし、行動食のα米の赤飯を一口と後は水・・・。
蒸し暑さや緊張感もあって喉が渇きます。今日は2リットル持参したけど、これでいっぱいいっぱいでした。
こんな時は 水分補給=エネルギ−補給だから、脂肪燃焼系&アミノ酸系スポ−ツドリンクは私の命綱です!。
日ごろからせっせと蓄えた余りある脂肪が、体を動かす原動力になってくれるはずです!??。
  9:37  黒部湖や立山方面が見える                      9:38  やっと不動岳の基部まで来たかな?
相変わらず樹林の中のアップダウンの道を歩いています。 
天気はとってもいいので、時折木立の間から立山方面や高瀬湖方面の展望が開けます。
ここから見る山々は絶景です。特に立山から鬼岳〜獅子岳へと続く稜線の残雪が美しく、まさに北アルプスならではの景観です。

2年前の夏は・・・バスで室堂まで上がって、そこから2時間ほど登っただけであの稜線の上に立っていましたよ。
それにひきかえ、今の私は・・・昨日一日かけてやっと登ってきたのに、今日も もうすでに4時間半も歩いているのに
まだ樹林の中を彷徨っている (T_T)/~~~  とほほ・・・・・
9:39  急な下りで見つけたイワギキョウ オオバキスミレ
樹林の中とはいえ、良しも悪しも!?変化に富んだ道なので、あらっ(*^。^*)という、今が旬のお花さんも
たくさん咲いていました。    ツリフネソウやミヤマカラマツ、カニコウモリにツマトリソウ・・・
地味な花が多い中、イワギキョウが一箇所、咲いていました。
キヌガサソウ サンカヨウ 9:41
雪が遅くまで残っていたらしい場所には、キヌガサソウやサンカヨウがたくさん咲いていて、心が和みます。
でも相変わらず道は険しい・・・。ここで今日2袋目のアミノバイタルプロを投入し、まだまだ足さんには頑張ってもらわなくっちゃ!。
12:25  コマクサ・コマクサ・・・ 12:26  不動岳(標高2595m)
どれくらい歩いたんだろう・・・。時間の観念もわからなくなってしまったみたい・・・。
12時はもうとっくに過ぎているのにまだ不動岳に着いていないし・・・ 。
  やっと頂上らしい景色になってきました。この頃になると雲が多くなり遠望が利きません。
花崗岩や砂礫の道になったので、あたりを見回しながら歩くと・・・

咲いていました。最初に見つけた たった一輪のコマクサを見て、胸に込み上げてくるものを感じました。
コマクサの花を見ることが一番の目的でした。この花を見るために、昨日は一日中登り、今日はもう7時間も歩いている。
2日間かけて辿り着いた不動岳への道のりの険しさのほうが この時、勝っていたような気がします。

でも斜面一面に咲き誇っているコマクサを見ていたら、やっぱりうれしくなりました。
山頂の標識近くで先ほどのザックにうちわの登山者が寛いでいました。 
何と彼もテント泊だった方で、話にも花を咲かせて30分ほど過ごしました。(以降、彼を往年のキタカマさんと呼びましょう!)
シナノキンバイ 13:47       シラネアオイ(写真では残念・・花はもっとピンク色でした)
一足先に不動岳を後にした往年のキタカマさんを見送ってから13時ごろ、再び一人で歩き始めました。
草付きの道にはシナノキンバイがいっぱい咲いていて、高山地帯にいる実感がウレシイ!
数は多くなかったけどシラネアオイも見ることができました。

長時間歩き続けて どんな道だったか忘れてしまいましたが、相変わらずアップダウンが激しかったように記憶しています。
登山地図(5万分の1)を見ても、その険しさは想像できませんが、等高線で表れないアップダウンがいくつもある道でした。
不動岳近くで反対方向から歩いてきた登山者が南沢手前で一箇所イヤな場所があったと言っていたので、
いつその場面が現れるのかと内心不安で歩き続けます。
砂礫の道の登りが続きます。
こんな感じのガレの淵を登っていく
箇所が何度かありました。
いずれもこちら側からだと登りでした
が、反対側からだと下りだから、
緊張する場面でしょうね。

そろそろ南沢岳に着かないかなぁ?
不動岳から南沢までも長〜く感じました。

ここで今日3袋目のアミノバイタル
タイムです。

これからの行程の頑張りと、明日の為
の筋肉疲労のメンテナンスにと、
貴重な最後の一袋を口にしたのでした。
14:21  こんな淵を歩くの・・・!
タカネスミレ 15:15  南沢乗越
午後2時50分、巨石のあるピ−クに出ました。
道は左側に曲がっていて、その先を歩いている往年のキタカマさんの姿がありました。
やや下り調子で歩いていくと、南沢乗越に着いたようです。黄色のタカネスミレが目につき始めました。
この頃はますます霧が多くなり、視界が悪くなっていました。
でもよく見ると、斜面のはるか下のほうまでコマクサ・コマクサ・コマクサ・・・。
みんなが言っていたように、南沢乗越のコマクサの群落が一番見事でした。
15:25  南沢乗越  斜面一面にコマクサの花が・・・
朝5時半から歩いているので、すでにもう10時間経ってしまいました。 コ−スタイムより大幅にオ−バ−タイム!
今日のル−トは難路ゆえに登山者も少なく、このような大規模なコマクサの群落が守られているのですね。
2日間、試練の連続でしたが、このコマクサを見て、その労力も報われた気がします。
15:40
コマクサはちょうど咲き揃った頃で、とっても美しい状態でした。さすが女王様です!
でも、もし・・・また・・・ここのコマクサを見たいと思ったら、今度は烏帽子小屋から往復するでしょう (^_-)-☆
砂礫と岩のオブジェが美しい歩きや
すい道をゆるやかに下っていきます。

前方に雪渓や池塘が現れると、どうやら
四十八池に入ってきたようです。

ここから先は以前歩いたことがあるの
で、気分的には楽になったけど、
小屋まではまだまだ歩かなくっちゃ!

前方右手に見えるはずの烏帽子岳は
霧の中です。
15:50  四十八池に下る
16:00 四十八池 16:37 烏帽子岳分岐 烏帽子岳
烏帽子岳へは分岐からピストンするのですが、運良く霧の中だし、登る体力も気力も残っていないから、
もちろんスル−して、ニセ烏帽子岳への今日最後の登りに入ってきました。
イワギキョウ 17:20 烏帽子小屋
足元のコマクサやイワギキョウに最後の元気をもらって、やっと烏帽子小屋に着きました。
やれやれ・・・12時間近くかかってしまいました。
小屋は夕食の時間のようで宿泊者は室内に入り、ベンチ周りも静かでした。
小屋の前では往年のキタカマさんが旨そうにビ−ルを飲んでいます。『やぁ〜今日は厳しかったですねぇ〜』  
明日は野口五郎岳を越えて湯俣に下りようと計画していたけど、今日の試練ですっかり弱気になり、
エスケ−プル−トとして考えていた「ブナ立尾根を下ってしまおうか」 とも思案したりして・・・。

ビ−ルを飲みたいのをじっと我慢して、とりあえず受付を済まし、まずはテント場までテントを設営に向かいました。
点在する幕営地は3連休とあって混んでいて、近いところから満杯です。
テントを張り終えてから再び小屋に戻り、水と缶ビ-ルを買いにいきました。
テント場の朝は早く、3時過ぎには目が覚めました。さて・・・今日はどうしよう?とまだ思案中です。
気持ちは稜線を歩きたいんだけど、竹村新道がどのような道かが 不安材料なんです。
コ−スタイムだと、今日が一番のロングコ−ス。昨日や一昨日のような道だったら果たして下りきれるのだろうかという不安と、
ここまで来たら 稜線を歩いて大展望とコマクサを堪能したいという気持ちとが、心の中でかけ引きをしています。
ヘッドランプの明かりの中で、もう一度地図を読み直してみました。
5:10  今日は稜線漫歩・・・ ヒョウタン池と表銀座方面
足の具合はというと・・・昨日のサプリの効き目があったのかないのか?まあ、初日に比べれば快足!って感じ。
チャレンジにはリスクが伴うもの!。やらなかった事に後悔したくないから、計画通りにレッツ・トライと決めました!

3日目の朝は雲ひとつない快晴です。こんな天気で稜線漫歩が出来ることがうれしくなって、出発準備中でも気がはやります。 
水は2リットル弱、荷物は食料分だけ減っていいのに、行動食もほとんど食べないし、夕食時も流動食(?)が主食と
なってしまって軽量化していかないのが悩みの種です。
5時ちょっと過ぎに出発しようとしたら、グットタイミングで往年のキタカマさんも準備完了でした。
『おはようございま〜す。湯俣に行くことにしたんですか?』と声をかけてくれました。
5:50  三ッ岳への登り 5:55 三ッ岳周辺もコマクサがいっぱい     
さあ!今日も一人で歩き始めました。今日は朝から森林限界を越えた稜線歩きなので、気分的にはウキウキ・ワクワク!
ここは以前も歩いた道なので、野口五郎岳を越えたあたりまでは、天気さえよれれば歩き易い、
大展望のロケ−ションが期待できるってわけです。
三ッ岳のコマクサ
三ッ岳周辺にもコマクサが多く、さすが裏銀座ということで登山者の姿も多いです。
登山道は足を前にスライドするだけで、難なく登っていけるプラチナロ−ド!。
昨日までの登り下りの労力を思うと まさにダイアモンドコ−スです。  
立山方面 6:10  三ッ岳山頂からの眺め 烏帽子岳や蓮華岳〜針ノ木方面
 おまけにこの大展望! どこを見渡しても北アルプスが広がっているという景観の良さは、誰もが感動するものです。
まさに北アルプス縦走の醍醐味を満喫できる絶好のロケ−ションです。
「そうだよね! 北アルプスってこんな感じだよ!」 と、晴れ晴れハイカ−の私は3日目にしてやっと、
自分の思い描いていた北アルプスに安心して浸ることができました。
7:10 お花畑コ−スを歩く 7:20  雷鳥の親子のお散歩
後半の体力温存のために、稜線に上がる道を避けてお花畑コ−スを行くと、いたるところに高山植物の群落が広がっていました。
その先の道が合流するところで、往年のキタカマさん達に追いつき、
ちょうどお散歩途中だった雷鳥の親子に先導されながら、快適な稜線歩きが続きます。
純白のシャクナゲ ハクサンイチゲ
7:46  大展望の稜線散歩を満喫 8:41 野口五郎小屋 9:00 野口五郎岳まであと少し
広い稜線上の道は穏やかにずっと続いていて、難なく水平移動していきます。
見える山の角度がどんどん変化していくのがわかります。
野口五郎小屋は、クラシック音楽が流れ、貴重な晴れ間にせっせと布団を干していました。
岩の上を飛び移りながら、野口五郎岳はもうすぐです。
何年か前、この山頂に立った時は
一面霧に覆われていました。

でも今日はこんなに素晴らしい晴天に
恵まれました。

標高は2924m、今回の最高到達点
ということになります。

表銀座、北鎌尾根、主峰はやっぱり
槍ヶ岳。奥が穂高の山々・・・

東鎌尾根に続く稜線上には鷲羽岳、
水晶岳。

水晶岳から続く赤牛岳、そして読売新道。
薬師岳の雄大なカ−ルも一目瞭然です。
9:15 野口五郎岳(標高2924m)
鷲羽岳                                   水晶岳
それぞれの山の頂には、それぞれの登山の思い出がいっぱいつまっています。
稜線を目で追いながら、自分の軌跡を確かめられると楽しさも倍増します。やっぱり山は晴れたらいいな(*^。^*)
手前が赤牛岳の稜線  奥は薬師岳 カ−ル 北薬師岳
この山並みの中で、いつも気になるのがまだ未踏の赤牛岳です。そしていつかは歩いてみたいと思う読売新道。
水晶方面からピストンすることが多いようだけど、私はやっぱり黒部湖まで歩いてみたいと思うのです。
槍ヶ岳・奥は穂高岳 9:40  遠望は白山 双六岳  笠ヶ岳
山頂でたっぷりと景観を満喫したら、いよいよ後半戦に突入です。
このダイナミックな景色を見ながらザク道をサクサクっと軽快に下っていきました。
10:20  真砂岳分岐点 10:40  お花畑を下る
真砂岳分岐点まで下ると、縦走路から離れて、真砂岳をトラバ−ス気味に進み竹村新道に入りました。
道は相変わらずとても歩き易い道が続きます。 稜線上を乗越して、お花畑を通過して・・・雪渓があったり・・・
正面に槍ヶ岳を見ながら下る 11:30  右手には鷲羽岳が大きい
10:47  木の梯子を下ると悪場がある 10:50  ガレ場のトラバ−ス
木の梯子を下っていくと、ちょっとしたガレ場のトラバ−スがありました。石くずがガラガラして、崩れ易い場所で、
ちょっと緊張する場面がありましたが、注意するのはその箇所だけで、あとは、稜線上のゆるやかな下りでした。
湯俣分岐の標識が分かりにくく、
ここを左折してハイマツ帯を下るの
ですが、気が付かずに通り過ぎると
その先のピ−クに上がってしまいそうな
分岐でした。

ここにザックを置いてその上のピ−ク
まで行ってきた往年のキタカマさんが
居なければ、そのまま直進してピ−ク
を踏んで右往左往していたかもしれ
ません。

彼は昨日、後ろを歩く私の姿を何度も
(無事歩いているか)振り返って確認して
くれたようです。
色々と助けてくれてありがとう。
11:50  湯俣分岐 湯俣岳に続く稜線
12:10  ダイナミックな展望が続く
新道と名前が付く道は、あまりいい道ではないと思ってしまうけど、ここまではとっても歩き易い道でした。
もう歩き始めて7時間も経っていますが、まだまだ絶好調です。 7時間もこんなダイナミックな景観を満喫できてるなんてスゴイよね!
往年のキタカマさんとは時々一緒に下りました。彼の目標は今日中に湯俣温泉から高瀬湖を抜け、七倉まで下山することのよう
でしたが、私からすると「湯俣温泉を素通りするだけだなんて、何てもったいない!」

何時間も歩かないと行けない湯俣温泉は秘湯の中の秘湯でしょ!  そして、やはり今日を予定通り歩きたかったのは、
どうしてもこの温泉に入りたかったからです。その為に、水着もずっと背負って歩いているんだから!
「もし無事下山できたら、ビ−ル→温泉→ビ−ル→温泉→ビ−ル→温泉と過ごすのが今の最大の楽しみなんだ(*^。^*)」
と、話たら 今日中に帰りたかった往年のキタカマさんも 目の前にビ−ルと温泉がチラついてしまったみたいです。
道はこのあと登り返しがあり、登り切った
ところが湯股岳でした。

これでほぼ登りが終わりました。

ここの標識によると、湯俣温泉晴嵐荘ま
で2時間10分と書いてあります。

ここから標高差1000m弱下るの
ですが、最初は新道らしくない
緩やかで下り易い道がずっと
続いていました。

昨日・一昨日の試練は
何だったんだろう・・・

13:40 湯股岳(標高2378m)                          
14:50 樹林の下り 15:35 展望台 16:00  湯俣のダムが見える
展望台から下部はずいぶん急傾斜になりましたが、不安箇所もなく下り続けることができました。
温泉の匂いもしてきました。エメラルド色の湯俣川も近くになりました。
ゴ−ルまであと30分のあたりで あとわずかになった残りの水を飲み干し、ラストスパ−ト!
16:05 湯俣温泉 晴嵐荘 湯俣温泉 晴嵐荘            テント場の前に露天風呂がある
湯俣温泉 晴嵐荘に着きました。今日の行動時間は11時間でした。
11時間といっても昨日の12時間とは比べものにならないくらい、楽な道のりでした。 
晴嵐荘でまずは受付を済ませます。幕営料は500円、内湯は500円で明日の朝も入れるというからこれはありがたい!。
とりあえずロング缶も一本いただいて、隣のテントサイト(河原)にザックを置き、河原に腰をかけて、
まずは無事下山のご褒美と称し一人ビ−ルでカンパ〜イ!!! 下山直後のビ−ルのなんて旨いこと!。

ひと心地着いてから、おもむろにテントを完成させました。そこへお隣のテントに私と同世代の女性がお二人戻ってきました。
噴湯丘のある露天風呂に行っていたようで、これから夕食の支度が始まるようです。

往年のキタカマさんは私よりちょっと遅れて下山しましたが、ゴ−ル寸前で水が底を付き、
テント場の水場に着いてからは水場を離れようとせず、ずっと水の番をしています。
私はというと・・・ビ−ルの後は温泉だから、まずは内湯に浸かり、3日ぶりの石鹸で 汗をすっかり洗い流しました。

テントに戻り、夕食の支度でもと思っていたら、お隣の女性陣に『一緒にどうですか?』とお声をかけていただき、
まっ赤なプチトマトが目に眩しく飛び込んできました。
このタイミングで新鮮野菜が食べれるなんてと、早速ご相伴に預かることにしてしまいました。
プチトマトや珍しいイトウリの漬物、きゅうりの浅漬けと、食べたかったものばかりが次々と登場し、
2本目のロング缶もあっという間に空になってしまいました。

新潟コシヒカリさんと角田コシヒカリさんは共に山友で、山つながりで山の秘湯にもハマっているとのこと。
この連休は休みが少ししかとれなかったので、湯俣温泉でテント泊が今回の旅の目的でもあったようです。
新潟の山や東北の山の話で大いに盛り上がりました。そこへ七倉まで帰れず、ここにテントを張った
往年のキタカマさんも加わり、缶ビ−ル片手に彼女達の手料理(煮豚・水餃子・あんかけ焼きそば)に舌鼓を打ったのでした。
コシヒカリさん、とっても美味しかったです。ご馳走さまでした(*^。^*)
最初の2日間はこの先どうなることかと
試練の連続でしたが、
3日目の今日はその試練以上の喜び
いっぱいの一日となりました。

こうして知り合った山の仲間達と
一期一会の時間を過ごせることが
とっても幸せに思います。

そして、薄暗くなった頃、テントサイトの
前の露天風呂に移動して(女性達は
水着着用)、温泉とビ−ルとワインを
満喫したのでした。
 テント場前の露天風呂 噴湯丘へは15分
噴湯丘に向かう   手作り露天風呂 タマネギの形をした巨大な噴湯丘 きのこの形の噴湯丘
今日は高瀬ダムまで3時間ほど歩くだけなので、朝はのんびりです。
明るくなってから、この湯俣温泉の天然記念物である噴湯丘を見に行くことにしました。
吊橋を2回渡り、ロ−プで河原に降りて、河原を少し歩くと、前方に湯気が見えます。
河原の向こうにタマネギの形をした巨大な噴湯丘がありました。

この辺りには温泉客が自分用にカスタマイズして入る天然露天風呂がいくつもあるのですが、
朝はまだ誰も居ないし、川と源泉を混ぜるほどの時間もなく、いずれも熱いものばかりで諦めて帰りました。
テント場に戻り、もう一度露天風呂と内湯に入り、最後まで温泉を堪能し、そろそろ帰ることにいたしましょう。
7:05  高瀬川沿いに下山する 8:08  名無避難小屋 高瀬湖
コシヒカリさん達にお礼とお別れを告げ、吊橋を渡って高瀬川沿いを歩きます。
すっかり下山モ−ドになってしまい、背中の荷物が重くてイライラしてきます。
それもそのはず、食料はまったく減ってないし、それよりも水を含んだ水着や着替えが重さを感じる原因のようです。
辛抱して歩いていると高瀬川はやがて大きな高瀬湖になりました。
高瀬ダムまであと・・・キロという標識がいくつかあり、あと2kmくらいになった時、前方にトンネルがありました。
最初のトンネルはカ−ブしているようで、
出口は見えず、真っ暗な闇が
広がっているだけです。
「え〜このトンネルの中を歩くの〜?」
と一歩トンネル中に踏み込みましたが、
あまりにも闇が深いので、慌ててヘッ
ドランプを取り出しました。

ここは東電の施設なので、時節がら
明かりを点してないのでしょう。
ここを一人で歩くのは気味悪く、
先ほどまでのサックが重いストレスは、
すっかりぶっ飛びました。
真っ暗なトンネルを2つ歩く 9:50 高瀬ダムはロックフィルダム
やっとトンネルを出ると、慰霊碑がありました。 何のかな〜?と考えていたら また次のトンネルが出現!。
今度はかすかに出口が見えるけど、慰霊碑の後に真っ暗なトンネルの一人歩きは非常に不気味なことではありませんか!。
真っ暗な地面にライトを当てて歩いていると、誰かが落としたのかタオルのような物が闇から浮かび上がって
((+_+))((+_+))((+_+)) 
「ああぁ〜びっくりしたぁ〜〜〜」
やっとトンネルを脱出して、ここでちょうど客待ちしていたタクシ−(2000円)に乗り込み七倉の駐車場に戻りました。

PS  往年のキタカマさん、新潟コシヒカリさん、角田コシヒカリさん、楽しい思い出をいっぱいありがとう (*^。^*)
     そして、また山で会えたらいいですね (^_-)-☆
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