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今年の梅雨明けは遅かったけど、お盆の頃から、いっきに夏の遅れを取り戻すかのような猛暑が続いていました
この暑さにすっかり嫌気がさし、この状況下から逃避したくて、高い山を歩こうと思い立ちました
避暑地に選んだのは中央アルプス。 バスとロ−プ−ウェイで一気に標高2652mへ・・・
そこからは涼風漫歩で中央アルプスの主稜線の中で快適な2日間を過ごそうと・・・
中央アルプスを侮るなかれ (−−) ちょっと手強かったですよ・・・でもたっぷりと中央アルプスを満喫できました |
≪DATA≫ 8月17日
6:30 管ノ台バス発着所・駐車場ー 7:00 しらび平行きバス発車ー7:40 駒ケ岳ロ−プ−ウェイー
8:00 千畳敷駅を出発ー 8:25乗越浄土ー8:50 宝剣岳ー9:40 極楽平ー12:35 檜尾岳ー
14:35 熊沢岳ー16:25 東川岳ー17:00 木曽殿山荘 |
中央道・駒ヶ根ICから10分足らずでバスの発着所である菅ノ台の駐車場に着きました。
駐車料金400円を払い、登山の支度をして、切符売り場でバスとロ−プ−ウェイの
片道切符を買い求め(1980円)、バス待ちの列に並びました。
バスは臨時便も出ていて、5〜10分間隔で発車しています。約30分ほど待って、
7時頃のバスに乗り込みました。約30分ちょっとでしらび平に到着。
ここからは、バスから降りた人が待ち時間無く、そのままロ−プ−ウェイに
乗ることができました。
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しらび平から千畳敷駅へ |
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千畳敷から眺めた宝剣岳 |
千畳敷カ−ル |
千畳敷カ−ルのお花畑 |
千畳敷のタ−ミナルで登山届けを出して、8時頃から歩き出しました。千畳敷カ−ルにはたくさんの種類の高山植物が
咲き乱れていました。遊歩道は、高山植物のこの時期独特な、むせかえる香りに包まれています。
(二日間の縦走中、やはりこの千畳敷カ−ルのお花畑が一番規模も花の種類が多かったです。)
カ−ルの遊歩道には多くのハイカーが乗越浄土まで登っています。
浄土乗越からは東側に、雲海の上に屏風のように連なる南アルプスが望めました。 |
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宝剣山荘の分岐で左に道を分け、
ここからは登山者だけの静かな
エリアになりました。
宝剣岳は岩峰で、岩登りの要素が
必要ですが、三点支持さえ出来れば
鎖や杭があるので大丈夫です。
頂上直下の10分ほどが核心部でした。
←私の横の3mほどの岩が
一番標高が高い場所です。 |
宝剣岳の登りの鎖場 |
宝剣岳山頂・標高2931m |
頂上から南側に、これから歩く稜線や
明日目指す空木岳も見えます。
上空は快晴、心地いい涼やかな風を
カラダに感じ、下界での猛暑をしばし
忘れることができました。
今回もひとり旅・・・。
『ロ−プ−ウェイで一気に標高を稼ぎ、
あとは気ままに涼風漫歩』
と安直に選んだ中央アルプスでしたが、
侮るなかれ・・・偉大な山々でした。 |
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宝剣岳の下りでの鎖場 |
振り返って見た宝剣岳 |
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【島田娘】 |
極楽平 |
コマクサやタカネツメクサ |
宝剣岳の岩場を過ぎ、緩やかに下っていくと、三ノ沢岳への分岐があります。
もう少し下ると極楽平で、千畳敷駅から左周りに登る道と合流します。
常に涼風が吹き、最高の稜線歩きができて、山に居ることの幸せを感じました。 |
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これから歩く峰々・・・一番奥が空木岳 |
ハクサンフウロやウサギギク |
主稜線もハイマツ帯が多い |
島田娘のピ−クは気が付かないまま通り過ぎてしまいました。
東側には駒ヶ根の町が、西側にはやがて木曽川に注ぐ伊那川が見えます。
町が見えるので、稜線上は携帯の電波もしっかり届きました。 |
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アキノキリンソウ・ヤマホタルブクロ・タカネツメクサ・トウヤクリンドウ |
12:35 檜尾岳2727m |
ハイマツ帯の登り下りを繰り返し、岩場を登っていくと、ピ−クの大きな花崗岩の横に木柱が立っていました。
ここがたぶん濁沢大峰で、岩の鎖場や小さな木のハシゴやロ−プを伝ってまた下ります。
稜線から東側に回りこむ道には所々お花畑が見られ心が和みます。
再びジグザグに登り詰めると檜尾岳に着きました。今日の稜線歩きのやっと半分が終わりました。
陽射しは強いので喉が渇きます。ここからまだたくさんのピ−クを超えなければいけません。 |
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14:35 熊沢岳2778m |
お花畑が広がっている |
16:25 東川岳 標高2671m
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途中岩場の通過など、足場の悪い箇所などもあったりと、短いスパンで刻々と変化していく登山道はなかなか手強いものです。
ひと登りで熊沢岳に着きました。 後ろを振り返って 『随分歩いたなぁ〜。あとピ−クは一つだ。』
空木岳や南駒ケ岳が大きく迫ってきました。熊沢岳から最後のピ−ク東川岳には約1時間半の行程です。
東川岳から一気に下り、砂地の階段状に作った道を降りきると、木曽殿越にある木曽殿山荘に到着しました。 |
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17:00 木曽殿山荘標高2486m |
水場に向かう途中のお花畑 |
水場【義仲の力水】 |
小屋へは夕方5時に到着しました。朝8時から歩き始めたので、今日も行動時間9時間の長丁場でした。
さくっと涼風漫歩を楽しむつもりが充実したトレッキングとなってしまいました。
中央アルプスの稜線上には幕営ポイントが無いので今回は小屋に素泊りすることにしました。
テント・寝袋を持たないかわりに一人宴会セットを持参。受付で5000円を支払い、水場へと向かいました。
途中の道にはたくさんの高山植物が見られ、アキノキリンソウやトリカブトなど、晩夏の花へと移っていました。 |
小屋の前のテラスからは空木岳と
南駒ケ岳が大きく見えます。
テ−ブルセットに今晩の酒肴を並べ、
夕暮れまで至福の時を過ごしました。
宵のうちは暑くて寝苦しかったものの、
日付が変わったころからか急に冷え始め、
明け方の気温は15度位でした。 |
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一人宴会のメニュ− 主食がビ−ル |
テラスから見た夕暮れ |
≪DATA≫ 8月18日
5:00木曽殿山荘ー6:35 空木岳ー7:40 駒石ー9:10 迷尾根(小地獄・大地獄)−
10:45 池山小屋ー11:15 タカウチ場ー11:35 林道終点ー12:15 スキ−場ー12:30 菅ノ台駐車場 |
中央アルプスの北の主峰は木曽駒ヶ岳で、南の主峰は空木岳(うつぎだけ)です。
美しい山の名前に惹かれたと、深田久弥も百名山の著書にも書いてありますが、
空木岳の名前の由来は麓に咲くウツギの花や雪形からのようです。
木曽殿山荘から空木岳には標高差300m、約1時間半の登りです。 |
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5:10 空木岳の登りで見たご来光 |
空木岳直下の風景 |
『えっ!こんなとこ登るの!」
ってところを攀じ登っていく。 |
朝5時、少し明るくなってから、小屋を出発しました。朝イチ、砂礫の急斜面に取り付きました。
風があり、少し寒い位でしたが、猛暑の夏にこの寒さはありがたいです。途中、立ち止まってご来光を見ました。
砂礫の道を45分ほど登り詰めると、ハイマツや花崗岩の大きな岩峰群が見えてきました。道はこの岩の中を攀じ登っていきます。 |
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振り返ると御嶽山と、岩峰に張り付いている登山者が見える 空木岳の岩峰群 |
『昨日の宝剣岳は危険マ−クが付いていたけど、この登りもそれに匹敵するくらいヤバイじゃん!』
と思いながら赤ペンキの岩を見落とさないように、岩場をよじりながら進みました。
振り返ると御嶽山が緩やかな裾野を広げています。 先ほど通過した岩峰には(←)、
登山者が2〜3名張り付いているのが見えます。ここから見ていてもヤバそうな場所です!。 |
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ほぼ山頂に近くなりました。
木曽殿山荘からの登りは険しいけれど、
山頂付近の花崗岩とハイマツの
コントラストはとても美しく、
私もこの山が大好きになりました。
これは西側を撮った写真ですが、
御嶽山が真正面に見えます。
その左後ろには白山も見えました。 |
6:35 空木岳山頂です。
朝の力強い陽射しが降り注ぎ、それで
いて強い風が吹いていました。
私が着いた時には1時間前からここに
居るという登山者が一人だけで、
静かな山頂でした。
南には南駒ケ岳、
北には昨日歩いた山々が
すっきりと見渡せました。
山の景観!360度の大展望!
神々しいまでの雲海!・・・と、
たくさんのご褒美をいただき、
今、自分がこの山に居る事の幸せを
ひしひしと感じました。
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6:35 空木岳山頂 標高2863m(百名山) |
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空木岳を東面から見る |
7:35 駒石 |
トウヤクリンドウ |
だんだん登山者が増え賑やかくなってきたので、ここらで山頂をあとにして砂地を下り駒峰ヒュッテまで降りました。
昨日、黄昏時のテラスで、ほろ酔い気分で何気に地図を見て気が付いたことがありました。
『今日の下りは・・・何と・・・標高差2000メ−トル!!!』
標高差2000mといえば・・・昨年夏、土砂降りの中、赤石岳から椹島へ一気に下ったのを思い出しました。
下りはじめて空木岳を振り返ると・・・こちら側はこんな優しい山容だったんですね。駒石の横を通り、
ハイマツや砂地の道を緩やかに下っていくと、トウヤクリンドウがたくさん咲いていました。。 |
8:00 これでいよいよ展望の利いた
稜線から、樹林の中へと下っていきます。
樹林帯に入ってしまうと、もう遠くの
展望はありません。
標高差2000メ−トルの脅威を
意識して、もっとガンガン下るのかと
思ったら、さほどではありません。
標高が下がるにつれ、樹木の種類や
花の種類が変わるのが楽しくて、
軽快に下っていきました。 |
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いよいよ樹林帯に入る |
登山道に咲くニッコウキスゲ |
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標高2500m付近の木々 |
8:55 迷い尾根の手前のお花畑 シモツケ・ハクサンフウロ・シャジン・・・など |
途中、たくさんの高山植物が咲いている場所がありました。その先には急な階段や新しい橋などが架けられていました。
尾根の形状が複雑になり、そろそろ迷い尾根の辺りだろうかと思ったら、10分ほどで、迷い尾根の警告看板がありました。 |
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ここは大地獄・小地獄があり、池山尾根
で一番の難所となります。
この先、どんな苦難が待ち受けている
んだろうと、誰もがやや緊張気味に
通過するようです。
急斜面には手すり付きの階段が渡され、
トラバ−ス道の切り立った谷側には
転落防止用の木枕が整備され、
ヤセ尾根の急傾斜にはロ−プで
フィックスが張り巡らしてあったりと、
しばらくアップダウンを繰り返し、
複雑な尾根を巻くように進んでいくと、
もう一度先ほどの警告看板があり、
結局、そこで危険箇所の通過は
終わったようでした。
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9:05 迷い尾根に付けられた看板 |
急峻な地形に急な階段 |
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10:00 シラビソの木が多くなった |
10:10 池山分岐 |
10:40 ダケカンバも混じってきた |
小休止の後、左側の登山道経由池山行きのル−トで池山小屋を目指しました。標高差2000mを意識して、
どんな急斜面の下りが延々と続くのだろうと気負っているのに、登山道はいたってなだらかで歩きやすい道が延々と続きます。 |
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10:45 池山小屋の水場 |
ブナの林が美しく広く明るい登山道 |
11:35 林道終点の駐車場 |
カンバやブナなど、落葉樹が多くなると、周囲が明るくなりました。池山小屋には豊富な水をたたえる水場がありました。
池山小屋の標高は1590m。ゴ−ルの菅ノ台駐車場までは、あと標高差730mほど降りなくてはいけません。
しかし、ここからはもっと道はゆるやかになり、広く整備された遊歩道が登山道と交差するように作られていました。
ここからだらだらと50分ほど下って駐車場に出ました。
20台ほど駐車できるスペ−スは、ほぼ満車状態。ここの標高は1365m・ゴ−ルまで、あと標高差500mとなりました。 |
ここからは一気に下ります。
標高差500mを1時間で降りるの
だから効率がいいです。
いままでのダラダラ歩きから一転して
、リズミカルにじゃんじゃん降り
ていきました。
12時30分、菅ノ台駐車場に到着。
今日は行動時間7時間半。たっぷり
歩いて大満足でした。 |
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駐車場のアサギマダラ |
スキ−場手前の登山口の看板 |
下山後は ≪露天こぶしの湯≫ でゆったり温泉に浸かり、後は途中寄り道をしながら、のんびりと家路に。
まだ未知の山だった中央アルプスは今回の山行ですっかり大好きになりました。
これを機会に、色々なアプロ−チで中央アルプスの魅力を探ってみたいと思いました。 |
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