去年からの課題だった南アルプスの早川尾根。 近い場所だからいつでも行けると思っていると、いつも行きそびれてしまいます。 理想的には甲斐駒ヶ岳と早川尾根を縦走して鳳凰三山まで繋ぎ、夜叉神に下山するという2泊3日。 鳳凰山にホウオウシャジンが咲く頃に歩きたかったけど、やっと今ごろになってしまいました。 出発する5日前に持病の腰痛が再発し、まだ完治してない不安をかかえつつ、3連休の後半は台風18号の影響が 出るかもしれないという天気予報から、エスケ−プル−トのプランも万全に整え、いざ出発。 |
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7:30 広河原着 広河原から見える北岳 (9:00発の北沢峠行きのバスに乗る) | ||
とりあえず、3日目の下山口にあたる夜叉神(夜叉神に6時47分)に車を置き、シャトルバスに乗って、7時半ごろ 広河原へと入りました。 平日の北沢峠行きのバスの接続は悪く、広河原では1時間半ほど待って9時発のバスに乗車。 |
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9:30 北沢峠 リニュ−アルした駒仙小屋 9:45 仙水峠に向かう登山道に入る | ||
北沢峠に着いたのは9時25分です。 北沢峠は何年ぶりだろう?。懐かしいテント場の先には新しく建て替えられた駒仙小屋がありました。 |
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10:30 仙水小屋のテント場に荷物をデポする 仙水峠に向かう | ||
駒仙小屋の前を通って仙水小屋を目指します。30分ほど緩やかに登ると仙水小屋がありました。 小屋で幕営料400円を支払い、小屋上部のテントサイトに向かい、ここに重たいザックをデポしました。 サブザックに日帰り装備だけを入れて、身軽になって 仙水峠に向かいましょう。岩がゴロゴロした場所を歩き進めると・・・ |
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11:00 仙水峠 11:25 早川尾根を望む | ||
仙水峠に着きました。早川尾根は野呂川と大武川の分水嶺にして、ここ仙水峠から始まり、 野呂川に平行して鳳凰山に至っています。 今回の山の目的は早川尾根。 でも仙水峠に登る人の大部分は甲斐駒ケ岳に登ろうとする人達でしょう。 明日、早川尾根の稜線に上がり、そこから甲斐駒ケ岳を見たら絶対に登りたいと思うはず。 だから早川尾根をスタ−トする前にどうしても登っておかなくてはと思っていた次第です。 前回の甲斐駒ケ岳は2001年の秋の黒戸尾根だから、な・な・なんと12年ぶりの甲斐駒ケ岳です。 |
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11:25 摩利支天が見える 11:28 仙丈ヶ岳が見える | ||
仙水峠から駒津峰までは、樹林の中の急な登りです。心配な腰の具合は、フツ−に山を登るだけなら大丈夫そうです。 もっとも背中にびっちりとテ−ピングして、、その上からコルセットもしています。 そんなにまでして、ど〜して山に登るのでしょう・・・???(^^♪ 樹林の間から摩利支天が見えました。やっぱ美しいですね〜。反対側には仙丈ヶ岳も見えますね〜。 |
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11:38 仙水峠から約40分・・・ 11:48 駒津峰のピ−クが見える | ||
再び展望のない樹林の急傾斜の中を登ります。やっと駒津峰のピ−クが見えてきました。 | ||
11:55 数少ない花に癒される 12:22 本峰も登場です | ||
1時間ほどで樹林帯を抜けると、展望が開けてきます。相変わらず急な登りですが、道端の花を見ては和み、 摩利支天を従えた甲斐駒ケ岳を見ては、はやり名峰だな〜としみじみ思い・・・ 「でも、道のりはまだまだ長いじゃん。」 |
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12:35 駒津峰から見た甲斐駒ケ岳 | ||
駒津峰から見た甲斐駒ケ岳はデカい!。 そしてその道のりもかなり大変そうに感じました。 | ||
12:35 駒津峰 13:05 六万石 | ||
ここでコンビニで買ったおにぎりと大福を食べて、のんびりと大展望を楽しみました。 駒津峰からは岩稜帯を一旦下って、いよいよ本峰に取り付きます。 |
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13:10 直登コ−スに進む | ||
直登コ−スと巻き道コ−スの分岐がありました。 「空身だし、登りだし・・・」と、迷わず「直登コ−スにしよう!。」 ストックをザックにしまい、岩場に取り付きました。 |
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13:18 岩登りコ−スです 13:25 | ||
何箇所かは両手も使っての岩登りでしたが、腰痛が完治していないことを忘れていて、後の祭り・・・ でも後半は花崗岩の中の砂地の登りになって、頂上にぐんぐん近づきました。 |
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14:00 甲斐駒ケ岳 | ||
遠くの山にはガスがかかり、遠望が利きませんが、甲斐駒ケ岳の山頂に着きました。 山頂には私の他に単独の方一人と、ヘルメットを持った男性が2名だけ。静かな山頂です。 |
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14:25 巻き道コ−スで下山 15:30 駒津峰 | ||
下りは安全に巻き道コ−スで下山です。砂地で滑りやすいので慎重に下りましょう。 摩利支天への分岐も見送り、再び駒津峰に戻ってきました。あとは下るのみです。 駒津峰から仙水峠までの急降下はちょっと時間がかかりました。 腰が本調子ではないことから、足のふんばりが思うように利かず、空身にもかかわらず軽快に下ることができない。 ストックに頼りながら、通常の1.5倍ほどの時間をかけて仙水峠まで降りてきました。 |
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17:10 仙水小屋 18:00 定番の晩酌メニュ− | ||
岩くずの道を下り仙水小屋に到着です。テント場には私の他にテントは1張りだけです。 今晩は雨が降るかもしてないという不安はありますが、それでも小屋よりはいいんだよな〜。 「あぁぁぁ〜早くビ−ル飲みた〜い。」という気持ちを堪えきれず、テントを張り終えた途端、 荷物の整理もそっちのけで、屋外の晩酌タイムに突入したのでした。 |
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5:45 仙水小屋出発 6:15 仙水峠から見た鳳凰山 6:15 仙水峠 | ||
雨は夜半にパラっときた程度で、朝が明けました。明け方もたいして冷えることもなく、まるで夏山のまんまの陽気です。 一晩経って、腰痛の具合は昨日よりも良くなっているような感じ。これなら今日1日歩けそうです。 荷造りをしてさあ出発。昨日と違って、今日は一日フル装備での山歩きです。 まずは昨日歩いた道を再び登り、仙水峠に向かいます。仙水峠からずっとずっと向こうに鳳凰山のオベリスクが見えました。 今日はあんなに遠いオベリスクに、どれだけ近づくことができるでしょうか・・・? |
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6:20 いよいよ早川尾根に取り付く 6:36 樹林の中の急登 | ||
早川尾根はいきなりの急登で始まりました。岩っぽい道を登ると、すぐにシラベの樹林帯になりました。 針葉樹と苔蒸した山道がいい雰囲気ですが、なかなか険しい道が続きます。 |
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6:55 振り返るといつも甲斐駒ケ岳が見える 6:56 樹林帯を抜けると岩場の登りになる | ||
仙水峠から最初のピ−クの栗沢山まではコ−スタイムが1時間30分ほどです。 その中ほどで樹林帯を抜けました。このあたりで最初の一休み。 |
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7:35 ハイマツとダケカンバの中を登る | ||
栗沢山のピ−クは近くに見えているのに、なかなかたどり着かないのが不思議な感じ、道は左側に巻きながら続いています。 | ||
8:00 振り返ると甲斐駒ケ岳 | ||
時間だけは過ぎてゆきます。 でも標高は上がっていますね〜。振り返ると甲斐駒ケ岳。 ここに居て、あの山に登らなければ、ずっと後ろ髪を引かれる思いをしたはず。雲海の後方には八ヶ岳も見えます。 |
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8:00 早川尾根越しに鳳凰山を見る 8:05 頂上直下の岩場 | ||
樹林帯を出て、岩場で朝ごはんを食べていたのが朝の7時頃。 栗沢山山頂もすぐ近くに見えていたから あと30分くらいで着くだろうと思っていたのに、気がつけばあれから1時間・・・。 |
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8:07 栗沢山頂上直下から早川尾根と鳳凰山を見る 8:15 栗沢山 山頂 | ||
仙水峠から栗沢山までのコ−スタイムは1時間30分ほど・・・。思ったより道は険しくて、後半は距離以上に時間がかかり (途中に朝ごはん休憩をしたけど)2時間後に山頂に着きました。 360度の大展望が広がりました。 野呂川越しに対峙するのが仙丈岳です。仙丈岳の左肩に緩やかに延々と続く尾根は仙塩尾根かしら?。 仙塩尾根が続くその稜線の手前はひときわピラミダルな北岳が見えます。その奥の山は白根三山や塩見岳なのでしょう。 |
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8:16 栗沢山でのご褒美は、何といっても甲斐駒ケ岳 | ||
でも、ここからのダントツは甲斐駒ケ岳。 早川尾根の魅力は、南アルプスの展望台だからです。 ピ−クからは、ぐるりと南アルプスが見渡せ、八ヶ岳や中央アルプスや、北アルプスまでも見えました。 |
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8:45 栗沢山山頂にて・・・北岳の奥に見えるのは白根三山や塩見岳なのかな?。 山頂を後にアサヨ峰に向かう | ||
ここでは携帯の電波が入ったので、メ−ルやら天気予報やら山岳の天気までチェックしました。 やはり台風18号が発生した様子。今日は一日天気がいいけど、明日からは台風の影響を受けて雨っぽい模様。 そして明後日には東海地方に上陸しそうな予報です。 今日は鳳凰小屋まで歩き、もう一泊して明日鳳凰三山を縦走して夜叉神に下山する計画でいたけど、こりゃ〜ダメだ。 この時点で計画を変更して、今日中に広河原に下ることにしました。約30分の休憩の後、アサヨ峰に向けて出発です。 |
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9:15 ハイマツ帯の稜線歩き 9:25 いくつものピ−クを越えて・・・ | ||
栗沢山からアサヨ峰まではコ−スタイムが約1時間。大展望の快適な稜線歩きだと思いきや・・・ 岩稜帯だしアップダウンがけっこうあって、なかなかしんどい。 標高的にはここから見える南アルプスの名峰よりは低いからと油断していた感もありました。 |
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9:45 早川尾根の向こうに見えるピ−クは高嶺かな? 9:53 角度が変わるとオベリスクが見えます | ||
10:00 アサヨ峰 | ||
栗沢山から1時間15分かかり、アサヨ峰に着きました。標高は2799m。 今日の最高到達点です。 標識の正面には仙丈ヶ岳が見えますね〜。山頂から南側にまっすぐに伸びる仙塩尾根がひときわ印象的でした。 仙塩尾根・・・ただただ超〜長い尾根です。 以前、両俣から熊の平小屋を経て塩見岳まで歩いたことはあるけど、 その前半部分の仙丈ヶ岳から両俣(野呂川越)までは未知の領域。今度はあの尾根を歩こう!と次の目標ができました。 |
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10:00 アサヨ峰から 早川尾根と甲斐駒ケ岳、鋸岳 | ||
アサヨ峰では誰とも会いませんでした。 振り返ると早川尾根の向こうには甲斐駒ケ岳と摩利支天が重なって見えるように なりました。その奥に見える笠のようなピ−クをもった山が気になったのですが、鋸岳なのでしょうか? |
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10:10 アサヨ峰山頂でライチョウを見る 10:35 アサヨ峰からは下り | ||
ハイマツの中からライチョウらしい鳴き声がしたので、周辺を探してみたら、ちょうど岩の上に現れました。 南アルプスでもちゃんと生息しているのがうれしくなりました。 ここでも30分ほどのんびりと過ごし、さて歩き始めましょう。 今度は東側に向きを変えて下っていきました。 |
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10:44 11:15 | ||
縦走路はハイマツ帯だったり潅木帯だったり岩場の道だったりと変化に富んでいます。アップダウンもけっこうあります。 | ||
11:40 いい雰囲気な森の感じ 11:50 ミヨシノ頭 | ||
気になっていた腰痛の具合は昨日よりはラクで、一日歩いてもたぶん大丈夫だと思う。 アップダウンが多くて疲れるけど、次々に森の雰囲気が変わるのでそれが楽しいと感じます。この頃は上空は晴れていても、 周りの山には雲がかかり、これから歩く尾根やその先の鳳凰山が見られないのがちょっと残念。 きっと朝見た時より、オベリスクに近づいているはずなのにね。 標識は見つけられませんでしたが、小ピ−クのミヨシノ頭を越えたみたいです。 |
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11:59 絶望的な下り・・・・ 少し平らがあるとすご〜く嬉しい | ||
ミヨシノ頭を越えたら、一気に下りへと転じました。ギャップの大きい箇所もいくつかあり、重荷では大変。 急降下の連続で、このまま野呂川まで下っちゃうんじゃない($・・)/~~~???って思うほど、長い時間下っていたような・・・。 下ったのにまた登って・・・また下りがあって、またまた登るの〜〜〜? 早川尾根って手強いな〜($・・)/~~~ |
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12:43 早川尾根小屋 | ||
絶望的な下り・・・・の後のアップダウンの連続。 こんな時、私は思いました。 早川尾根は南アルプスをそこそこ登り終えた ベテラン登山者が歩く道でしょ。 そしてピ−クからは軌跡を残した南アルプスの名峰をしみじみと眺めるのだと思うのです。 例えば初心者ハイカ−が早川尾根を歩いて、そこから見えた南アルプスに登りたいと思うのでしょうか?。 多分、私はNOだと思うな〜($・・)/~~~ 早川尾根が大変だから山が嫌いになっちゃうかも。 富士山登った人が他の山に登らないのと同じように・・・。 そうこうしていたら、やっと傾斜が緩んで 広場の中に小屋が見えてきました。 早川尾根小屋は時間が止まったかのように静まり返っています。 ここで冷たくて美味しい水をたっぷりと飲んで、小休止。あぁぁ〜生き返るよ〜。 |
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13:20 この先のピ−ク手前が広河原峠 13:30 広河原峠 | ||
早川尾根小屋から広河原峠までは緩やかな下りでした。今日歩いた早川尾根の中で、一番歩くのにラクな道でした。 ここで南御小屋から鳳凰三山を縦走してきた単独の男性と行き会いました。 台風の影響が出そうだから私は今日下山しますが、私と逆コ−スで縦走しているなんてとても親近感がわきました。 あっという間に広河原峠に着きました。ここから広河原の手前の林道に下るコ−スタイムは2時間30分。 バス停まではプラス15分ってとこです。 この時間なら、ここから下れば充分にバスの時間には間に合います。 しかし、早川尾根の縦走にこだわりたかったので、この先もう少しピ−クを越え、白鳳峠まで向かうことにしました。 フル装備の重たいザックを背負っての縦走は時間もかかり大変だけど、ここで下ったらはやり悔いが残ってしまうのです。 |
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13:35 広河原峠から白鳳峠に向かう 13:45 樹林の間から北岳が見える | ||
広河原峠から白鳳峠へ約1時間ほど。再び登りです。 このあたりの標高は2400mぐらい。樹林の間から見えた北岳はずいぶん高く見えます。 |
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13:49 シャクナゲの木が多い | ||
道中はずっと樹林帯ですが、シラベがあったりコメツガがあったり潅木に混じってシャクナゲがあったりと、 変化に富んだいい雰囲気です。苔やキノコも美しい。 |
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14:20 このあたりもシャクナゲが多い 14:27 赤薙沢ノ頭 | ||
小さなピ−クを越えながら、これが最後の登りです。ずっとシャクナゲの木が見られ、花が咲くころ歩きたいものです。 ちょっと岩っぽいピ−クがあって、ここが赤薙沢ノ頭でしょう、広河原峠から標高差で200m登りました。 これから白鳳峠まで標高差で100mを下ります。 |
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14:48 白鳳峠に下る 14:49 前方のガスの中に高嶺が見える | ||
後は下るのみ。もうすぐ白鳳峠です。前方のガスの中にうっすらと高嶺が見えます。 早川尾根は高嶺まで続き、その先はもう鳳凰山です。3年前の夏に、夜叉神から鳳凰三山を縦走して、 高嶺を越えて白鳳峠まで歩いているので、これで早川尾根を完全に縦走できました。 |
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14:51 白鳳峠 15:17 しばらくはゴ−ロの中を下る | ||
今朝は6時前から歩いているので、すでに9時間も経過しています。 ここから広河原まで2時間以上かけて 標高差930mも下るのです。 この登山道の厳しさは3年前にも経験済み。さあ、頑張ろう! |
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15:30 シラビソ林に入る 15:52 鉄ハシゴの道 | ||
40分ほど広大なゴ−ロの中を下ると樹林帯に突入です。でも最初は緩やかに下っていきます。白鳳峠から下ること1時間。 最初の鉄ハシゴが現れました。以前より、ハシゴは整備され、頑丈になったみたいです。さて、ここからが正念場。 長時間の歩行と腰に不安がある状態で、体はずいぶんお疲れの様子。慎重に下りましょう。 |
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17:00 広河原(白鳳峠登山口)に下山 17:10 広河原バスタ−ミナル到着 | ||
苔の付いた濡れた岩場を歩いたり、鎖場や梯子を下っていくと、下から川の流れる音がします。 終盤は電光石火のような下りが続き、車道が見えるまでずっと急降下。最後の最後まで急降下して車道に降り立ちました。 腰痛持ちの足にはかなりの負担でしたが、ほっとするのもつかの間・・・ シャトルタクシ−の最終時刻はたぶん過ぎているように思うけど、はたしてタクシ−はあるでしょうか???。 どうせもう一泊するつもりだったから、タクシ−に乗れなくても、コインシャワ−のある広河原山荘で幕営(降雨覚悟で!) するつもりもあったので、この時間の下山でもやむなし。 タクシ−に乗り遅れても大丈夫。 それよりも、何とか早川尾根の軌跡が繋がったことのほうに充実感はありました。 さて、タ−ミナルには満員のタクシ−が6〜7台。乗りきれない登山者が17名ほど。 山中の山小屋では、台風が近づいているから、小屋に泊まらず下山を勧めたようで、その人たちも混じっていた様子です。 何とか臨時便を2台出してくれるとのことで、今日中に広河原を脱出できることになりました。 その後折り返し戻ってくるタクシ−を待ち、夕方6時過ぎに広河原を出発。暗くなって車を置いていた夜叉神に到着しました。 |
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